撮影が終わり、遅くなったからってママがお金をくれて、私とひとみはご飯を食べに行った。
さしむかいでする食事、ひとみがかっこよすぎてドキドキした。
「ひとみさ、変わったね」
「そうだよね、自分でもびっくりだよ」
「明日学校行ったらみんなびっくりだよ?」
ひとみは苦笑してる。
「あんまり注目浴びるの好きじゃないんだよな」
それは無理だと思うよ? ひとみ。
帰り道、繁華街を歩くと、道行く人がひとみを振り返る。
ひとみは居心地悪そうに肩をすくめてる。
軟派な男達が声をかけてきそうになった瞬間、ひとみは速足で横道へ逸れた。
「ひとみ?」
「うざいでしょ?ああいうの」
物腰まで変わったな、なんて思って横顔見てたら、ぐいって肩を抱き寄せられた。
「こっちおいで」
そう言って自分との場所を変わるひとみ。
逸れた道は渋滞の抜け道になっているのか結構車の行き来が激しくて、
ひとみはそれから私を守るためにそうしたらしい。
「なんか変わったね」
思わず口に出してそういってた。
「あ、ごめん。いやだった?」
「ううん、そんなことないよ?そういうことしない人だと思ってたから…」
その後、なんか無言になってしまった私たち。
結局このあと、私たちが口にした言葉は「おやすみ」だけだった。
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