「真希ちゃん、教科書見せて」


私とひとみが出会ってから最初の会話らしい会話がこれ。
てか、ひとみってこんな声してたんだね。
ちょっと掠れた低めの声。
なんか予想してたのと違って驚いた。
机をくっつけて真ん中に教科書を置くとありがとって言うけれど、
まだ笑顔のでないひとみ、緊張してるのかな?



一時間目は中澤先生の英語の授業。
げ…予習してくるの忘れた…。
中澤先生は普段は気さくでいい先生なんだけど、
予習してこないと怒られるんだよな…。
当たらないように下向いておこう…。
だけど、やっぱりついてないときはついてないもんで、あたっちゃったよ…。
しかも一文が一番長いところじゃん。
どうしようかって思ってたら、ひとみが横から、袖口をひっぱってきた。
ひとみの方を見たら、ひとみがスラスラと和訳をノートに書いていた。
それを読む。


「おぉ、後藤。今日はちゃんと予習してきたんやなあ、よう出来た」


…ひとみって頭いいんだね。
まあ見るからに頭よさそうなわけだけど。



昼休みになり、私はひとみを中庭に誘った。
ママが作ってくれたお弁当を開けて、
わぁ…、なんて言ってる。
ママはどんなに忙しくても私のお弁当だけは作ってくれた。
それだけは私の自慢だった。


「真希ちゃんはいつもこんなの食べてるんだね」
「うん」
「ほら、あたし物心ついたころにはもうママいなかったから、なんかすごく感動した」



そっか、私が世間でパパがやるようなことをしてもらってないのと同じで、
ひとみもママの味、知らないんだもんね。
おいしそうに頬張るひとみはなんだか微笑ましくってずっと見てた。


「真希ちゃん?」
「なあに?」
「恥ずかしいんだけど…」
「あー、ごめんごめん。ねえ」
「なあに?」
「その真希ちゃんってのやめにしない?」
「え?でも…」
「だってタメじゃん?」
「わかった、真希って呼ぶ…」


渋々といった感じで私の要求を飲むひとみ。
でも私、間違ったこと言ってないよね?
だって姉妹なんだし。




下校時間になり、家に帰る途中、私はいつもの習慣でスーパーへと寄る。
ひとみもそれは同じらしく、何の疑問も口にしなかった。
私が押すショッピングカートの中にひとみが入れようとしたのは出来合いの弁当だった。

「何これ」
「何って、夕飯…」
「毎晩こんなの食って生活してたの?」
「うん、パパは毎日遅いし」
「自分で作ればいいじゃん」
「だめだよ。めっちゃ下手なの」
「とにかくこのお弁当戻して」
「へ?」

なんでそんな情けない顔するかなぁ。秀才顔が台なしだよ?

「くうなって言ってないよ?。私が作るから」
「へ?」
「へ?って何よ。私、料理得意なんだからね」

これは事実。
毎日帰りが遅いママ、年柄年中コンビニ弁当食ってるわけにいかなくて身についた特技なんだ。
家に帰って手早く料理をして見せたら、めちゃくちゃ驚いた顔してたよ。

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