結局ひとみは40度近い熱があって、即、入院。
ひとみが薬で寝ている間に着替えを取りに帰ることにした。



めちゃくちゃに自転車を飛ばして、着替えも速攻で詰め込んで。
そしたら病院にいく途中、紗耶香さんに会った。


「そんなに急いでどこ行くの?」
「どこだっていいじゃないですか」


横をすりぬけて行こうとするけれど邪魔されてしまう。


「あんたさあ、ひとみのこと好きでしょう」


今まで面と向かってそういうこと考えた事なかった。
でも…


「好き…かもしれない」
「かもって、えらくあいまいだなあ」


だって気持ち定まらないんだもん。


「姉妹だし」
「血つながってないんだろ?」
「そうだけど…」
「じゃあライバルになりうるわけだ」
「何が言いたいんですか?」
「驚異は先に潰しとけってな」


紗耶香さんの目が恐かった。
何をする気?


「ひとみに近づくな」
「一緒に住んでるから無理だよ…」
「じゃあ、手を出すな。もし、手を出したら…」


そう言うと紗耶香さんは私の肩を掴んだ。
私は力が強い方なのに、紗耶香さんの腕から逃れられない。
だんだんと紗耶香さんの顔が近づいてくる。
…何する気?
次の瞬間、紗耶香さんの唇が私の唇に触れていた。



「な、何するんですか!」
「これで忘れられないだろ?私との約束」


悔しくて涙が出て来た。
病院までの道、泣きながら走った。
早く…一刻も早くひとみの顔が見たかった。

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