帰り道、静かなひとみ。
顔を見ると、ひとみは静かに涙を流していた。


「ひとみ?」
「妹一人守れないなんてさ…」
「気にしないで?」
「あたしたち、出会わない方がよかったのかな」
「そんなことないよ」
「真希はさ、あたしに会えてよかったって思う?」
「うん、思うよ」


即答してた。
最初は最悪って思ってたことは事実。
でも今は、ひとみといる毎日が楽しい。
パパとママが『打ち解けてくれてよかった』って言うくらい仲がいい。
学校でのいじめに耐えられるのだって、ひとみの為って思うからこそだもん。


「絶対守るから。だから愛想つかさないでね?」
「ひとみ…」
「いやなんだよ…家族が離れていくの…もういやなんだ…」



唇を噛み締めてうつむいてしまったひとみを、背中から抱きしめた。
懸命に涙を堪えようとしているのが愛しくて、しばらくずっとそうしてた。





「ひとみ」


どこからともなく聞こえてきた声に、ひとみがびくって顔を上げた。


「…誰?」
「ひどいなぁ。元カノの声、忘れた?」


元カノ?
元彼じゃなくて?

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