でも、座っても全然よくならなくて…。
脂汗流してるあたしは、変だったに違いない。
「降りよう」
途中、席をかわってくれたお姉さんに腕をひっぱられた。
「へ?…」
ホームへ降りるとベンチにすわらされて、背中をさすられた。
「大丈夫?」
「はい…」
「貧血?」
「いや、初仕事で緊張して酔ったかと…」
「吐いてくる?」
「え?」
「酔ったんなら我慢しないで吐いた方がすっきりするよ?」
「そうします…」
よろよろと立ち上がったらお姉さんが支えてくれた。
そのままトイレまで付いて来てくれて、背中さすってくれて。
「ありがとうございました、楽になりました」
そう言って時計を見る。
「あ…」
「遅刻?」
「はい、初仕事なのに…」
「私も遅刻だ…」
「ごめんなさい、あたしのために」
「それより早く行かなくちゃ」
そういって同じ電車に乗り込む。
降りる駅も同じだった。
…あれ?歩く方向も一緒だ。
「職場近いんですかねえ」
「私、まだ学生だよ?」
「そうなんですか?」
そう言えばブレザースーツじゃん。
制服なのかな。
「「ここだから」」
声をあげたのは同時だった。
「ここの生徒?」
「先生?」
「「うそーー!!」」
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