翌朝、チャイムの音で目が覚めた。
玄関チャイムだったから、まだ寝ている安倍さんのかわりに、
あたしがドアを何の疑いもなく開けたんだ。

「あ…」

そこにいたのはまいちんとごっちんだった。

「…なにやってんの?」

いかにも寝起きのTシャツ一枚のあたし。
あたしに先入観のないごっちんは、ただニコニコ。
それに反してまいちんの表情は怒りに満ちていた。

「したの?」

まいちんの問いにあたしは答えられない。

「安倍さんに相談しにきたんだけど…」
「あ、起こそうか?」
「ううん、もういい。もうよしこにはごっちん渡せない」
「どういうこと?」
「私がごっちんのステディになる」
「え…」
「もうごっちんに会わないで」
「そんな…」
「ごっちんは私が護るから心配しなくていいから」


ショックだった。
あたしは親友と恋人の、二つを同時に失うの?



ごっちんとまいちんが帰って暫く、
あたしは呆然とその場に立ち尽くしていた。

「よっちゃん?」

起きて来た安倍さんに声をかけられた。

「どうかした?」
「いえ…あたし、帰ります…」
「え?」
「すいません、ありがとうございました」

一刻も早く、一人になりたくて、急いで帰る準備をした。
安倍さんがいぶかしげな顔をしてたけど、見ない振りをして。


マンションを飛び出して、
近くの店のトイレに飛び込んで、
あたしは声を殺して泣いたんだ。
そういや、明日は二人にフットサルの練習で会うんだっけ…。
気が重いな…。

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