あたしはごっちんを抱きしめてキスをする。
全身にくまなく…。
だんだんとごっちんの息が上がる。
ねえ感じてくれてんの?
あたし、攻めでもいけんじゃん。

「よっすぃ〜」
「な、何?」
「その気にさせたよっすぃ〜がいけないんだからね」

そう言うと、ごっちんは上下いれかわる。
そこからはごっちんのペースだ。
病院に行ったとはいえ、たまに咳込んでしまうあたし、
そんな時は咳が収まるまで優しく抱きしめててくれて。

「よっすぃ〜はここがいいんだよね?」

そういいながらごっちんがあたしの首筋を攻める。
…え?
今なんて言った?

「…ねえ、なんで知ってんの?」
「え?だっていつも首筋攻めたら、めっちゃいい声出すじゃん、ひーちゃん」

…今なんて呼んだ?

「真希ちゃん、その呼び方…」
「え?」

本人はどうやら気付いてないらしい。
でも、まぎれもなく、あたしのウイークポイントが首筋だって知ってるのも、
ひーちゃんって呼ぶのも、記憶のあった頃のごっちんだ。
あたしはそれを指摘する。

「…私のよっすぃ〜…」

思いだし方が変だよ? それ。

「うん。真希ちゃんのあたしだよ?」

ごっちんがあたしを見つめる。


「よっすぃ〜…」

ごっちんが愛おしそうにあたしの頬を撫でる。

「よっすぃ〜、ただいま」
「うん、おかえり」

あたし達は今一度、長くて深いキスを交わす。
身体も交わって、今までにないくらい満足して、ふと頭の中に疑問が浮かんだ。

「ねえ」
「ん?」
「記憶がない間のことって覚えてんの?」
「うん、覚えてる…あ…」

そうなんだ。あたしは安倍さんを抱いたし、ごっちんはまいちんを抱いた。
その事実は消えやしないんだ。

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