それから、あたしとごっちんの記憶を辿る日々が始まった。
まずは出会ったころから始めよう?
そう言ってあたしは都内の撮影スタジオに連れて行く。
「2000年の4月、あたし達はここで出会ったんだよ?」
「ここで?」
「うん。新メンバーだったあたしが、もうすでにトップアイドルだった真希ちゃんにここで会った」
ごっちんはビルを見上げた。
「すげえ緊張したんだよ?
でも、近くで見て一発で好きになった。それがあたし達の始まり」
あたしは出来る限りの時間を、ごっちんとの想い出探しに充てた。
お互い、いそがしい時間をぬって、
一時間でも空きが出来たら待ち合わせて出掛けた。
ごっちんはなかなか記憶を取り戻してくれないけど、
あたしと会っている間はまいちんと会わないわけだから、
それだけでもあたしの気が楽だった。
でも、やっぱりあたしはひとりよがりだったんだ。
なくした記憶を呼び覚ますのに、
ごっちんがどれだけの労力と気力を消耗しているかなんて、考えてもみなかった。
「よっすぃ〜」
ある日、梨華ちゃんに呼び止められた。
「何?」
「ごっちん、元気なの?」
「元気だよ、どうして?」
「さっき久々に会ったら痩せたみたいだからさ。顔色もよくないし」
気がつかなかった。
毎日会ってたくせして、なにやってんだ、あたし。
慌ててごっちんの楽屋へ急ぐ。
「真希ちゃん!」
楽屋に飛び込んだら、まいちんに「しーっ!」って制された。
そう、ごっちんはまいちんにもたれて、つかの間の睡眠を取っていたんだ。
「今、寝たばっかりだから」
「うん…」
「夜は頭が痛くて寝れないらしいから」
「そうなんだ…」
まいちんはそう静かに話した。
だけど、まいちんの瞳の奥には怒りの色がはっきりと見て取れた。
「ごめん…」
「なんであやまるの?」
「…」
「謝るくらいならもっと労ってやりな?」
その通りだ。
まいちんの腰にぎゅっと回されたごっちんの手が辛かった。
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