ごっちんに悟られないように、布団の中で目をこすってから起き上がった
。
「真希ちゃん、おはよ…」
「おはよ…って、目、赤いよ?」
「そう?大丈夫だよ?コンタクトのせいじゃないかな」
苦しい嘘をついて。
「体調どう?」
「うん。昨日より全然まし」
「よかった。仕事行けそう?」
「うん。行くよ」
「事務所まで一緒に行く?」
「いいの?」
「心配だし」
あたし達は電車で事務所まで行くことにした。
あたしの家から駅までの道を並んで歩く。
何度か歩いた道だ。
見覚えがあるのかどうか、ごっちんはキョロキョロしながら歩いてる。
「…ねえ、よっすぃ〜」
「何?」
「私、ここ歩いたことある?」
「あるよ、何度も」
「そっか…よっすぃ〜と一緒に?」
「そうだよ。覚えてるの?」
「明確にってわけじゃないんだけど…なんか引っ掛かるの…」
安倍さんが言ってたのはこれか…。
あたし、こういう努力してないじゃん。
「ねえ、真希ちゃん」
「ん?」
「週に一回でも二回でもいいからさ、こうして二人で会ってくれる?」
「そしたら、よっすぃ〜のことも思い出せるのかな…」
「…思い出したい?」
「当たり前でしょ?」
「思い出したらつらくなるかもしれないよ?」
「それでもいいよ」
「わかった。手伝うよ」
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