知らせを聞いたのはテレビのニュースだった。
「ロケバスが多重衝突、高架から転落」
そんなタイトルのニュース。
あたしたちの仕事に直に関係している
「ロケバス」って言葉に、思わずテレビを見た。
そこに見たのはごっちんの写真。
頭の中が真っ白になって、
そのあとの内容なんて全然覚えてなくて、
事実関係を確かめるためにマネージャーに電話した。
電話をしている最中から震えが止まらなかった。
胸が苦しくて、胃もムカついた。
電話の向こうでマネージャーが
「吉澤、しっかりしろよ？」って言ってた。
しばらくしたら、他のハローのメンバーから、メールがばんばん来始めた。
まいちんとアヤカは、わざわざ来てくれた。
「どうしよう…」
「よしこ、落ち着いて？」
「でも…」
「私たちも詳しくは聞いてないんだけどケガ酷いの？」
「意識不明だって…」
「…え？」
「意識がないんだって言うんだよ…」
そこまで言ったら涙があふれて来た。
「よしこ…」
「どうしよう…あたし…」
「行こ、病院へ」
かくしてあたしら三人は病院へと向かった。
病院には中澤さんや安倍さん、矢口さんなんかが来ていた。
みんなあたしの顔を見て気まずそうにしている。
「ごっちんは？」
矢口さんに聞いた。
矢口さんが指差した先はＩＣＵだった。
あたしがＩＣＵの前まで行くと、ちょうどごっちんのママが出て来た。
「ひとみちゃん…」
「あの…ごっちんは…」
「意識が戻らなくてねぇ」
「ケガ、酷いんですか？」
「会ってやって？真希は本当にひとみちゃんのことが好きだから、
刺激になるかもしれないわ」
そう言われてあたしは中に入った。
ベッドに横たわるごっちんは、頭と腕、足に包帯を巻いていて、
かわいい顔には、無数の傷がついていた。
その傷の一つ一つに触れながら、あたしはごっちんの意識の回復を祈った。
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