<7>

 

真希は仕事は終わるとまっすぐに家に帰ってくる。
あたしは家の用事をしながら彼女を待つ。
本当はご飯でも作ってあげてもいいんだけど
ご飯は私が作りたいって真希が言うから。
だからあたしは掃除とか洗濯をして日中を過ごす。
あたしが働かなくても、月収が何百万とある真希の収入でなんとかなった。
なんかヒモみてえだな…
そう思うと惨めだから「あたしはペット」そう思うことにしてた。
ペットとして後藤真希のヒーリングになってるならいいじゃん
そう自分に言い聞かせて。
でも、いつの間にか真希の帰りを待ってる自分がいて
クールな彼女があたしの前で見せてくれるやわらかい笑顔に優越感すら持って。
いつからか、彼女に触れたい そう思うようになっていった。
触れたい、キスしたい、抱きしめたい
そんな欲望があたしの中で渦巻く。
あたし、ノーマルなはずだったんだけどな。
でも、それは叶わない。
抱きしめればあたしが女だってばれる。
このときばかりは無駄にでかい胸をうらんだ。
毎日毎日、そればかり悩んで。
だって真希は抱きしめてほしそうなんだもん。
隣にいると腕とか触ってくるし、凭れて来る。
本当はあたしだって抱きしめたいんだよ…。
この腕に抱きしめて、「大好きだよ」って言いたいんだ。



「私のこと…はなしていい?」
「うん」

今日も、あたしたちはソファに二人で並んですわり、
手をつないで話を始める。
お互いのこと、何も知らないままに始まった恋だから
一つずつ彼女はいろいろ話してくれた。



「前にねえ、言ったじゃん?」
「何を?」
「自分から好きになったの初めてって」
「ああ、言ってたね」
「嘘付け とか思わなかった?」
「ううん、別に」
「よかった…」
「何でそんなこと言うの?」
「だって私、自分が世間でどんなイメージもたれてるか知ってるよ?」
「え?」
「ヤリマンの男好き」
「……」
「ひとむくんも思ってた?」<
「ううん、思ってない」
「でも本当の私は自分から恋も出来ない子」
「でもモテるでしょ?」
「まあ…それなりに。だからいつも向こうから言ってくれたことばかり付き合ってた」
「そっか…」
「自分が好きかどうかなんて考えたこともなくて、
ただ好きだって言ってくれる子と付き合って…。
こんなだから男好きだって言われちゃうんだよね」

真希は自虐的に笑う。
凄く…すっごく真希を抱きしめたいと思った。
でもできないから、あたしはじっと真希を見詰めた。

「ねえ、私のこと嫌い?」
「ううん! そんなことない!」
「じゃあ何で…」
「え?」
「何で一緒に住んで二ヶ月にもなるのにキスもしてくれないの?」
「……」

キス、あたしだってしたいよ?
その柔らかい唇に触れたい。
あ、そうか…
抱きしめなければ、キス一つなら、ばれないか。
あたしは真希の肩に手を回すと
あいてる手で真希を自分のほうにむかせた。
自然と閉じる真希の瞳。
あたしはそっと唇を重ねた。
触れるだけの幼いキス。
それでも彼女は涙を一粒落とした。

「ありがと…」
「ん…」
「大好き」

真希が涙いっぱいの顔で微笑む。
もう…もうそばにいちゃいけないと思った。

 

つづく

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