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そんな、でも今更会いにいけるわけないじゃん。
あたしが裏切って、勝手に自己解決して出て行って。
どうすればいいかわからないあたしはまたストリートに立つことから始めた。
もう一度原点に帰ろうって、ストリートライブを始めることにした。

仲間に裏切られる前はバンドを組んでやんでたんだけれど
今回はアコギ一本もって一から出直しだ。
曲も作り直して、その中で一曲、あたしは真希の曲をコピーした。
彼女の家を出てから、弟にCDを借りて聞きなおしたんだよね。
すっごい心にしみた。





そして初めてソロでストリートに出た日、
ありがたいことに数十人のギャラリーがあたしを取り巻いてくれた。

「じゃあ、次の曲が最後になります。
あたしが大好きな曲で…とあるアイドル歌手がアルバムで歌っている曲なんですけど
すごい心にしみたんで…聞いてください」




♪誰にも教えぬままここまで来たわ 
夢はまだまだ秘密なの やさしく見守っていて

駅を一つ分だけ地中下車して
あなたと二人歩いたわ 贅沢した気分

転びそうになった日も 朝早く目覚めた日も
一人ではきっと無理だった
これからもそうでしょう

強くないわ 人は誰も 涙をする サボるときもある
ほんの少しの正義が導いてくれる

涙の星 涙の空 涙の影 涙の輝き
いろんな私がいるの まだ不慣れだけど


……
………

涙の星 涙の空 涙の影 涙の輝き
いろんなあなたが見たい
ちょっと怖いけど…すべてを知りたい♪


拍手がいっぱい起きた。
めっちゃうれしかった。
また歌うことの楽しさを見つけた感じだ。




譜面台だとか、マイクとか、片付け始める。
充実感に包まれて、
片付けさえもが楽しかった。
これで、真希のことも忘れられるかな…


「歌、すっごいよかったよ」

聞きなれた声
うそ…

顔を上げたら、そこには涙まみれの顔で微笑む真希がいた。

「真希…」
「私を歌一つでここまで泣かせられるんだもん。最高のシンガーだよ」

あたしは…真希を抱きしめたい衝動を抑えるので精一杯だった。
もう限界だ。
話さなきゃ…。
もしそれで嫌われたとしても
それはそれでもともと叶わない望みだったんだから
いい夢見させてもらったとでも言っておこう。



「真希、話があるんだ」
「うん、じゃあ私のマンション行こ?」
「わかった」

何でも帰る途中の信号待ちで聞こえてきた自分の曲に
驚いて車をとめてもらって降りたんだという。
大通りまで戻ると、車が停まっていた。

「どうぞ、乗って?」
「うん」

荷物を積んで後部座席に乗り込むと、運転席には中澤さんの姿が。

「あ…なんや、歌ってたのってこの子やったんか?」
「うん」
「よかったなあ、また会えて」
「うん! めっちゃうれしかったよ」

なんて本当にうれしそうな顔して言う真希。

「久しぶりやな、元気にしてたか?」
「はい。この前はお世話になりました」
「…何? 二人知り合いなの?」
「まあ、ちょっとな」
「どうですか? 彼女の様子は」
「あんまり変わらんな。まあでも? 今日こうやって会ったわけやし
改善されるかもやで?」


ごめんなさい、中澤さん。
あたしはこれから真希にショッキングな告白するんです。
これ以上に酷くなったら、どうか病院に連れて行ってやってください。

つづく

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