SIDE HITOMI

『あぁ、よっすぃ…』

試合に出れないことを、ごっちんがすごく気にしてたから
電話をかけてみた。
明日試合だよ、がんばるからねって言おうと思って電話したんだけど…。
電話の向こうから聞こえてきたのは、元気のないごっちんの声。

「…ごっちん? どうしたの?」
『んー?』
「なんか元気ない」
『うん…ちょっとね…』
「ツアーきついの?」
『ううん、そんなことないよ? 楽しい』
「じゃあなんで?」
『気になって…』
「気になる?」
『みんな緊張してないかな? 大丈夫かな?って思ったら
私のほうが緊張しちゃって…』
「あら…」


ごっちんは緊張すると胃が痛くなるんだよね…。

「大丈夫?」
『ん?』
「体調」
『うん、大丈夫だよー』

空元気だってわかるけど、ここはごっちんの言うことを信じてあげなきゃ。

「また明日、電話するね」

そう言って電話を切った。
…大丈夫かな。
あたしはずっと間近でこういうごっちんを見てきたから
きっとかなりしんどいんだろうってわかっちゃう。
そしてあたしに心配かけないようにって空元気出しちゃうごっちんもわかるんだ。
日本とハワイの距離を痛切に感じて、
なんだかあたしまで元気なくなっちゃうよ。



SIDE MAKI

ほんと、自分の内臓の弱さにはあきれ返っちゃう。
日本のフットサルのことが気になって、
よっすぃ〜緊張してないかな? なんて考えてたらめっちゃ胃が痛くなってきた。
往路の飛行機の中で考え始めて以来だから、
こっち来てからずっとだ…。
さすがにファンクラブツアーだから、昼間はそういうこと微塵も出さないよ?
精一杯の笑顔で接して。
っていうか、仕事してると気がまぎれるのかぜんぜん大丈夫なんだけどね。
いったん仕事が終わってホテルに帰ると、キリキリと胃が痛み出すんだ。
こっちの夜をめがけて電話してきてくれたよっすぃ〜。
よっすぃ〜の声聞いたら、涙が出そうになった。
電話を切ったら、前にもまして胃が痛んで…
気持ち悪いよ…
夕飯、あんまり採らなかったのにな。
我慢しても、具合は一向によくならなくて…。
これ以上我慢したら明日の仕事に差し支えるなって思ったから、
私はトイレへ向かった。
何回もトイレに通って、
もう何も出るもんないくらいに吐きつくして、
やっとのことで胃の痛みがましになったのはもう明け方近かった。
「やば…寝なきゃ…」
明日は7時半には起きなきゃな…。
まだかすかに痛む胃をさすりながら、私はベッドに入った。


RRRRR


アラームのあと、30分するかしないかで着信を告げる電話。


『真希ちゃん?』
「……よっすぃ〜?」
『大丈夫?』
「あ…もしかして気にして?」
『うん…気になって眠れなくてね…」
「今、そっち何時?」
『ん? 夜中の3時だよ?』
「だめじゃん! 寝なきゃ…」
『うん、真希ちゃんの声聞いたら寝るよ』
「明日試合でしょ?」

うれしいくせに減らず口ばっかりたたいてるし。

『わかってるって。でも真希ちゃんのこと気にしてたらいいプレイできないでしょ?
だから電話した』
「ありがと。大丈夫だから」

本当のことは言えないけど、よっすぃの気持ちはしっかり伝わったから。





日本に帰ったあと、写真を見たよっすぃに怒られた。
「ねえ、真希ちゃん、吐いたでしょ?」って
ごめんね? でも、試合に集中させてあげたかったから。
そういったら、テレくさそうに、


「今度の試合は一緒にね」

うん。
一緒にね。


FIN


あとがき
ハワイのオフィ写真を見たんですよ、いつもの内臓弱ってるときの顔してたんで
こんな番外編を書いてみました。

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