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「後藤です」
『脱出したか?』
「はい、脱出完了しました」




吉澤の乗った戦闘機も機龍のすぐ背後に到着した。


『吉澤君』
「はい」
『機龍遺棄の号令は君が出したまえ』
「わかりました」


吉澤がレーダーを見る。
日本海溝の最深部付近はもうすぐそこだった。

「後藤隊員は?」
『脱出完了、しらさぎが保護しているはずだ』

そんな司令室からの声に

『こちらしらさぎ、後藤隊員の保護はしていません』
『何だって?』
「すいません、機龍に近づいてもらえますか?」

吉澤がパイロットに頼む。
吉澤を乗せた戦闘機が機龍に近づく。
そこで吉澤が目にしたのは
無残に歪んだ非常口の姿だった。

「後藤隊員! 後藤隊員! 中にいるんでしょ? 応答して!」

返事が返ってこない。

「真希ちゃん!! 真希!! 返事しろ!!!」
『…ばれちゃった?』
「何言ってんだよ、何する気だよ」
『開かないんだよね、だから出られない、それだけのこと』
「真希…」
『あ、遠隔操作しなくていいよ、私が自分でメインエンジン切るから」
「やめろ!!!」
『じゃあね、ありがと』

吉澤は、司令室に向かって叫んだ。

「しらさぎに機龍に非常口を銃撃させてください」
『え?』
「いいから、早く! 間に合わない!!」
『わかった』

ほどなくして、しらさぎが機龍の背部を銃撃、
非常口のドアが開いた。

「真希! 脱出して!!」

しかし、その声は無線を切っていたには後藤には届かなかった。

「真希!! 早く!!!」

もはや、吉澤は涙声だ。
そのとき、機龍が、ゴジラを抱えたまま反転した。



「うわ!」

コックピットの中を転げまわる後藤

「どうなってんの?」

コントロールパネルに目をやる後藤、
その画面にはー



THANK...YOU...MAKI...





「機龍…ありがと、私もあんたにあえてよかったよ」


もう一度、身体をゆすった機龍から、
後藤は外へ投げ出された。

それを見届けた吉澤は、メインエンジン停止の指示を出す。
ゴジラと共に海に向かって落ちていく機龍、
着水するのを確認すると、吉澤も自ら緊急脱出ボタンを押した。




同じような海域に着水すると、
救命胴衣を着ていない後藤の元へ、吉澤は泳いでいった。

「大丈夫?」
「うん…」

上空を飛んでいたヘリが落としたゴムボートに
二人は乗り込む。

「バカ真希」
「ごめん」
「死んだらやだよぅ」
「だから、ごめんって、泣かないで?」
「泣いてない」
「涙流しながら言っても説得力ない」

そう言われてはじめて自分が泣いていることに気づいた吉澤は
ごしごしと涙をぬぐう。

「あ、だめ、はれちゃうよ?」

そういうと、真希は自分の唇で、吉澤の涙をそっとぬぐった。

「任務終わったらさ、どこかつれてってね?」
「うん」
「大好き」
「あたしも大好きだよ」

抱き合うひとつの影が、夕日を浴びていた。
今、このとき世界できっと一番美しいシルエットだったかもしれない。

 

 

FIN

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