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『ゴジラ、太平洋上で確認』

そんな一報が入ったのは
吉澤と後藤が一緒に住み始めてから1ヶ月が過ぎた頃だった。



「出動スタンバイだって」

朝、携帯に入った緊急要請に後藤の色に緊張が走る。

「うん、いきなりだったね」

同じく要請が入った吉澤は、後藤を後ろに乗せ、
基地へとバイクを走らせた。
自分たちの部署へと入ったとき、
後藤の耳に入ったのは
『ゴジラ、猛スピードで北上中。緊急配備』の報だった。

その頃吉澤は開発室で―。

「それ、どう言うことですか?」
「だから、ゴジラを呼び寄せてるのは機龍だって言う話だ」
「機龍が?」
「ああ。機龍の骨格、つまりゴジラの骨格を利用したことが
そもそもの一因かと」
「そんな…」

開発チームの同僚の話に吉澤は愕然とする。

「無論、俺たちが骨格を利用しようって言ったわけじゃないから
どうしようもないんだけど」
「それ…誰が研究したんですか?」
「研究じゃないよ」
「え?」
「モスラって知ってるか?」
「話では」
「昔、モスラを最初に発見した博士がいるんだけど…」

「私がお話しよう」

開発室に入ってきたのは、まさにその博士 中條だった。

「昨晩、私のところにモスラの使者が現れたんだ」
「使者?」
「ああ」

そう言うと中條は、窓枠に目をやった。
そこには小さな小さな妖精が二人

「この人たちが言うんだ」
「「機龍を戦わせてはいけません」」
「そんなこと言ったって、そしたら誰がゴジラから日本を守るんですか」

吉澤の疑問ももっともだ。

「「モスラが守ってくれます」」
「モスラが?」
「「機龍を戦わせれば災いが起こります」」
「災い?」
「「自分より強いものを感じれば、
そしてそれが自分と同じDNAを持つものと感じれば
ゴジラはその相手を邪魔なものと判断し、
完膚なきまでに襲うでしょう。
そのことによって及ぶ被害は…」」
「……真希…」

『機龍、出動!』

吉澤が後藤の身を案じたと同時に
機龍出撃の命令が下りた。

「ねえ、君たち!!」
「「はい」」

吉澤は小美人に詰め寄った。

「機龍は…機龍はどうなるの?」
「「機龍は早く破棄してください」」
「遅いよ、もう…ねえ、機龍はどうなるのさ」
「「これが最後の戦いになるかと」」
「最後ってなんだよ…」
「「早く引き返させるのです」」
「無理だよ!! 国家命令をあたしごときがひっくり返せるわけがない」
「「するのです。さもないと多大な被害が…」」
「くそーー!!」

吉澤は開発室を飛び出した。
多大な被害―、いや、真希の身に降りかかることを思うと
いても立ってもいられなかった。
吉澤は司令室へと飛びこんだ。



「後藤隊員! 後藤さん!」

マイクをつかんで叫ぶ吉澤。

『はい、なんですか、吉澤チーフ』
「今から言うことよく聞いて」

吉澤は、さっき小美人から聞いた話を現場に向かう後藤に聞かせた。

『…だから?』
「え?」
『そんな話聞いたからっていまさら戻ることできないよ?』
「後藤さん…」
『ゴジラが機龍を全力で倒しにくるんだったら
私はこいつと戦うのみ。
もう逃げられないよ。ってか逃げる気もないしね』
「でもさ、勝つ保証は…ないよ?」
『負けるなんて思ってないし。勝つ保証もないけどね』
「…わかった、もう何も言わない」
『うん、行ってくる』
「待ってるから…帰ってくるんだよ」
『うん。帰ったらさ、どっか行こうね』
「おう」

吉澤は唇をかみ締めてマイクから離れた。

「さっきの話は…本当か?」

司令室に同席していた首相の五十嵐が聞いた。

「ええ」

吉澤は涙をこらえて上を向く。

「こうやって決死の覚悟の人間がいるから
平和が保たれている。それを覚えていてください」

つづく

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