<3>

救護室に続く廊下を疾走する吉澤の姿があった。


「真希!」

がたんとドアを開ける吉澤を、後藤はばつが悪そうに見上げた。

「へへ…」
「…どうしたのさ…」
「んー、貧血」
「貧血って…」
「どうやら、栄養不足らしいな」

救護担当隊員の中澤が口を挟んだ。

「栄養不足?」
「そや。普段の健康診断とか引っかかったことのない子やからな
聞いてみたんや。ちゃんと食べてるか?って」
「そしたら?」
「食べてるっていいよったで。
でも信用できんかったから、昨日一日食べたもん言うてみ?って言うたんや」
「…何食べてたんですか?」
「後藤、朝、何食べた?」
「…カロリーメイト」
「昼は?」
「サラダとパン一個」
「夕飯は?」
「……食べてません…」
「……バカ真希…」
「昨日だけやなくて毎日や言うからさ、
そりゃそんなんでハードな訓練受けてたら倒れるっちゅうねん」

まくし立てる中澤に、吉澤はただ、後藤の顔をじっと見ていた。

「ごめんね?」
「へ?」
「ひとみ…」
「こんなに痩せてるのに、体調の変化に気づいてあげれなくてごめん」
「ひとみは悪くないよ?」
「ううん、あたしが悪い。
真希が人一倍がんばり屋さんで、
がんばりすぎちゃうって事わかってるくせに
何もしてやれなかった」

今にもあふれそうな涙目になっている吉澤を見て
後藤の方が焦る。

「ちょ…ひとみ?」
「今日からあたしが面倒見る!!」
「へ??」
「中澤さん、あたしが真希を連れて帰って面倒見ます。
お世話かけました。ありがとうございました!!」



「ねえ、面倒見るってどうする気?」


帰り道、後藤が吉澤に聞いた。
至極当然の問い。<
「連れてかえる」
「へ? どこへ?」
「あたしんち」
「はい?」
「一緒に住も? あたしがご飯とか作るから…
だから食べて? お願い」
「わかったよ、そこまで言うなら…」

日頃、一匹狼的な存在の後藤が
こうやって長時間同じ相手といることは珍しいことだった。
でも、自分の事を我が事とのように心配したり
いっしょに喜んでくれたりする吉澤は
後藤にとっては心地のよい存在だった。
結果として吉澤のおかげで
後藤はまた自分のペースを取り戻し、
落ちた体重もベストまで戻すことに成功した。

つづく

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